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家事分担最適化の話

この記事は読み終えるのにおよそ15分くらいかかります Advent Calendar の74日目です。

 

 

仕事中に Twitter していたんですけど

いつとは言わないですが Twitter してた時に TL に流れてて見かけたんですが、

netallica.yahoo.co.jp

この表です。これ良い話ですよね。

 

 

この表は何をしたのか

記事を要約すると「家事分担の偏りを感じた妻がそれを表にして見える化したら、夫が家事をするようになって問題解決した」というお話です。

めでたしめでたし。

 

ただ記事を見てくれぐれも勘違いしてほしくないんですが、この表はあくまで家事分担が偏っているという問題を提示しただけで、直接パートナーの人格を変えてくれたわけではありません。

この記事の旦那さんはもともと人格者だったので、目の前に問題を見て自主的に行動を変えられたのです。

 

よって、どこのどんなパートナーにも同じような表を作って突き付けてやれば、理想通りの家事をこなすマンになってくれる、というものではありません。

もし仮にこの表を見た旦那さんが「家事は妻がやるべきだ」という考えを持っていたとしたら、表を見て状態を確認したところで「当たり前じゃん」と言っておしまいだったことでしょう。

「俺は家事をやりすぎているのではないか」と、別の問題として認識してすらいたかもしれませんね*1

 

 

これはお仕事あるあるでもある 

同じことが仕事にも言えます。

タスクが一覧化された時、「みんなで助け合うべきだ」という意識を持っている人は自主的にタスクを拾ってくれるようになりますが、それ以外の人についてはそれを見ても、

  • 「やる意味がわからない」と言ってやらない
  • 「(やる意味はわかるが)自分がやることではない」と言ってやらない
  • 「やる」と言って実際にはやらない

このいずれかの行動をとります*2

 

 

じゃあどうすれば良いのよ

あなたが表を作ってパートナーに突き付けてみても何も変わらなかった場合には、どうすれば良いのでしょうか。

 

経験上一番効果的なのは、パートナーについては諦めて、別の手段を講じることです。

人間は行動を変えることは出来ても、意識を変えることはなかなか出来ません。

そこにあなたがコストを割くぐらいなら、いっそ別の手段で問題を解決することで、どうにもならないパートナーのことをまあ許せるかもしれないな、と考えられるような心を余裕をあなたの側に作ったほうが、「なんで変わってくれないんだ!」と憤慨するよりまだ健全です。

 

 

 

別の手段を考える

では別の手段として何をすれば良いのでしょうか。

手段の選択を間違えないために、まずは解決すべき問題をよく観察し、それから方法を考えましょう。

 

何が問題なのか

パートナーのことを切り捨てた場合、表での横軸が消滅するので、問題の本質はもはや「家事の偏り」にはありません。

表の横軸を取り払った時、目に見えるのは大量の家事タスクです。

つまり、「家事をする人数に対して、やるべき家事が多すぎること(=タスク過多)」が、対処すべき問題になります。

それを解決するためのアプローチは、逆説的に以下の2つになります。

  • 家事をする人数を増やす
  • やるべき家事を減らす

順番に見ていきましょう。

 

 

方針1:家事をする人数を増やす

記事の旦那さんは、自分を変えることで「家事をする人数」に参加し、この問題を解決しました。

しかし、あなたにはそんな家事に参加してくれるパートナーはいません。

そこで考えられる別の方法は、

  • 自分を増やす
  • 人を雇う
  • 奴隷を買う

といったところでしょうか。

 

しかし、自分を増やすのはもう少し先の未来でないと不可能そうですし、奴隷を買うのもどこかしらの国で何かしらの王*3になる必要がありそうです。

消去法でいくと、日本において最も現実的なのは人を雇うことですが、「そんなお金があればそもそも共働きしてないわボケが」という話ですよね。

ということで、他に特殊な手段がない限り、この方針での解決は難しそうです。

 

方針2:やるべき家事を減らす

ではこちらはどうでしょうか。

冒頭の記事ではこちらについて特に触れられていませんが、もしそもそも家事の全体量が少なければ、「家事が偏っている!!」という不満も出にくかったのではないかと思います。

 

方法としては、

  1. 何のためにやるのか考える
  2. 目的がはっきりしている家事の中で、手作業を無くせるものがないか検討する
  3. 無くせない家事は、負担が減らせないか検討する

が考えられます。

ひとつずつ見ていきましょう。

 

 

 

やるべき家事を減らす方法その1:何のためにやるのか考える

例えば冒頭の記事の表の中にある「結露ふく」を見てみてください。

この家事の目的は何でしょうか。

 

もしそれが即答出来ないのであれば、「結露ふく」は不要な家事である可能性があります。

もし即答出来たとしても、その目的は本当に達成する意味があるのかを考えてみてください。

 

「結露を拭かなければ実家で怒られていたからなんとなくやっていたけど、そういえばなぜなんだろう」と思ったのであれば、労力の無駄なので明日からはやめてしまいましょう。

「結露を拭かなければ湿度が上がって、うちには畳の部屋があるから、そこにカビが生えちゃうなあ」と思ったのであれば、続ける価値があるのかもしれません。

さらに考えを続けてみて、もし「カビが生えてもいい。カビと共に生きていく覚悟アリ」と決意出来たのであれば、その目的は無価値と言えます。

今すぐ結露を拭くのはやめてカビと共に生きましょう*4

 

もしそうでなければ、結露は拭き続けましょう。

というようなことを家事ひとつひとつについて考えて、やるべきものだけを並べてみてください。

 

 

 

やるべき家事を減らす方法その2:目的がはっきりしている家事の中で、手作業を無くせるものがないか検討する

さて、方法その1を経て、目的がはっきりしていてなおかつ続ける決意が出来た家事だけが出揃ったところで、今度はそれらの手作業が無くせないかを考えましょう。

  • 自動化する
  • 陳腐化させる
  • etc...

 

例えば、「結露ふく」の話ばかりで申し訳ないですが、世の中には結露をつきにくくしてくれるシートがあります。

www.amazon.co.jp

 

それ以外には、窓に貼るだけで結露を吸水して自然に蒸散させてくれるテープもあります。

www.amazon.co.jp

これがあれば「結露ふく」は無くせるかもしれません。

 

他にも表の中にある「公共料金支払い」についても、自動引落としを申しこめば無くせそうですね。

このようにして、さらに手でやるべき家事だけを一覧にしていきます。

 

 

 

やるべき家事を減らす方法その3:無くせない家事は、負担が減らせないか検討する

方法1と2を経て、もうあとは逃げも隠れも出来ない家事ばかりが一覧に残っていると思います。

最後にそれらについて、負担を軽減出来ないか検討してみましょう。

 

例えば皿洗いを完全に無くすことは出来ませんが食洗機を導入してみたり、乾燥機能付きの洗濯機を購入して物干しの量を減らしたり*5、ルンバを走り回らせて床掃除を少なくしてみたりと、家電で解決出来ることも少なくありません。

 

また家電に頼る頼らないに限らず、家事をする時の作業環境についても見直してみましょう。

もし作業動線に物があって毎回のストレスになっているのであれば、それがどんなに小さなストレスだったとしてもまずは物をどけてしまって、ストレス源を解消してみましょう。

意外なことに、それがきっかけで作業自体の負担も減るかもしれません*6

 

さあいかがでしょう。

出来上がった一覧を前にして、以前よりは少なくなった(はずの)家事を見て、少しは気が楽になったのではないでしょうか。

グッドラック。

 

 

 

良いパートナーに恵まれたとしても落とし穴はある

さて、ここまではパートナーに恵まれなかった人のことを考えてみましたが、今度は反対に、冒頭の記事のようにパートナーが家事に協力的なご家庭のことを考えてみましょう。

もしもパートナーに恵まれたとしても、落とし穴はいくつか考えられます。

 

 

落とし穴その1:家事の内容に共通認識がない

家事ひとつひとつがどんな作業をやって「終わった」と言えるのかについて、家事に参加する全員の共通認識が無ければ、「終わった」「終わってない」の口喧嘩になりかねません。

 

例えば一口に「皿洗い」と言ってもそれが、

  1. 流し台にあるものを洗う
  2. 鍋・フライパンを洗う

を指していると思っている人と、

  1. 洗うものが無いか家の中をウロウロして流し台に集めてくる
  2. 流し台にあるものを洗う
  3. 鍋・フライパンを洗う
  4. ストゥブに関しては拭いた後で軽く空焼きする
  5. フライパンを提げている吸盤が落ちないように押してやる
  6. 洗ったものを拭いて、食器棚に戻す
  7. 流し台を専用のスポンジでこする
  8. くず流入防止網にかかったゴミを小さいゴミ袋にうつして、網自体も洗う
  9. シンクのまわりの小さな汚れを雑巾で拭う

を指していると思っている人とが共存していた場合、後者が前者に対して「まだ終わってないじゃん!」と文句を言うのは明白でしょう。

しかし前者の人も自分の認識の中では終わっているので、「終わってるじゃないかよ!」と言い返し、さあバトル開始です。

 

 

落とし穴その2:家事の状況が共有出来ていない

冒頭の記事にも出てきましたが、「○○やろうか?」とパートナーがいちいち聞きに来るのは、この兆候を示しています。

パートナーにとってはその家事が終わっているのか、または着手されてある程度進捗しているのでそれを引き継げば良いのか、家事の状況がわからないので何から始めれば良いのかわからず、いちいち聞くしかありません。

「いちいち聞かないでも、見て察してうまいことやってよ!!」と言いたくなった時、再びのゴングが鳴り響き、さあバトル開始です。

 

 

落とし穴その3:新しい家事を認識出来ない

冒頭の記事では家事をいったんすべて表に書き出すことで可視化して、それまでどういう家事があるのかを認識出来ていなかった旦那さんが、自主的に家事をこなせるようになっています。

 

しかし、新しく家事が増えた時にそれを共有する仕組みがもともとあれば、旦那さんも都度新しい家事を認識することが出来て、自主的にこなすことも出来て、その結果「偏っている」という気持ちは生まれていなかったのではないでしょうか。

共有の仕組みが無いままで新しい家事が増えてきた時、旦那さんはそれをキャッチすることが出来ず、再び自分だけが消化し続け、やがて「また偏ってきた」という思いから、新しい表が誕生する未来が見えるような気がします。

3回目ぐらいで「いつまで表描かせるつもりよ!!」と言ってしまったその時、めぐりあい宇宙、ギャラクティカファントムです。

 

 

落とし穴その4:逆方向に偏っても気付けない

もし仮にですが、パートナーの家事キャッチアップが超スピードで進んだり、または新しい家事を最初に認識する機会がパートナーの側に増えた時、今度は逆の状況が生まれます。

 

つまり、今度は家事がパートナー側に偏ることになります。

しかしもしそうなったとしても、かつて作られた表には更新するための仕組みがありません*7

この状態が続くと、やがてある朝パートナーが自分に表を突き付けてくることでしょう。

ぶつかり合う表と表、表で表を洗う激しい戦いの末人類は滅び去り、そこには表だけが残ったのだった…。

 

〜fin〜

 

 

 

それでも世界は美しい

もし本気でこれらの落とし穴を全て解消したいのであれば、家にスクラムを導入するのが一番手っ取り早いと思います。

スクラム参加人数も二人や三人でしょうし、家庭を維持する目的も共通しているはず*8なので、機能しやすいと思います。

 

模造紙を貼った板に付箋紙で家事タスクを貼りだして見える化し、家事の進め方をチーム内レビューして合意形成し、毎朝「こういう差し込みがあって2時間消費、これは予定通りdone、これもdone、今日はこれこれこれをやります」と言って状況共有し、スプリントごとに互いの消化ポイントを見比べて偏りを把握すれば良いと思います。

それで全ての落とし穴は解消します。

お疲れ様でした。

 

 

楽しいムーミン一家

ただ、家族でやることで一番大切にすべきなのは、それが家族にとって楽しいかどうかです。

スクラムで家事を回して楽しいか?」と問われると僕はだいぶ疑問ですし、頭では問題の可視化や能率向上に有効だとわかっていても、僕はスクラムを導入する気にはなれません。

またスクラムは、参加するメンバー全員が「そもそもスクラムですすめるのが良い」と考えている必要があります。

そうでなければ、付箋紙にタスクを書くだとかそういう作業が苦痛でしかないという話を各方面からよく聞きます。

 

ですので、スクラムでやってみようという気持ちがあり、それに楽しんで付き合ってくれるパートナーがいて、かつ問題意識が自分と共通しているパートナーがいる人がもしいればぜひやってみてください。

そうでなければ、文句があればそれを言いあいながらも、コミュニケーションを密にして、ワイワイゆるく楽しくやるのがベストじゃないかな、と僕は思います。

 

「そもそもスクラムってなんだかわかんないぴょん☆」、という人はスクラム入門を読んでみてください。

 

 

最後になりますがうちの場合

我が家は家事分担表を作ったりといったことはしていません。

基本的に気になったほうが片付けをしたり、やりたいと思ったほうが料理をしたりします。

 

食事の用意はほとんど毎日妻がやってくれていて、片付けは暗黙のうちに自分の役割になっています。

しかし食事の用意と言えば、まず献立を考えて、次にレシピを調べて、買い物をして、実際に調理する、という4工程以上からなる決して楽とは言えない家事タスクです。

これを毎日こなすのは苦じゃないのだろうか?と思って聞いてみたのですが、「たしかに面倒だけど、あなたが美味しいと言って食べてくれるから苦じゃないよ」とのことでした。

 

いやーもう、うちの妻はほんとかわいいなーはい、記事おしまい。

 

*9

 

 

*1:これは定量的な指標の弱点でもあります

*2:経験上そう断言できます

*3:石油王とか麻薬王とか

*4:体には悪いと思います

*5:うちはこれによって完全に物干しタスクがなくなりました

*6:我が家はそれだけで衣類の片付けが格段に楽になりました

*7:「表を更新する」というタスクが表に入っていなかったのでこう言っていますが、あくまで推測です

*8:だから結婚したんですよね?

*9:子供がいないし家事の量が少ないがゆえの平和な気もしています。