みなさんこんばんは、わしです。
この記事は 僕に「○○」の話させたら長くなりますよ Advent Calendar 2016 の11日目です。
予告通り、村下孝蔵さんの話をします。
※本文中にAmazonのリンクがいくつか出てきますが、アフィリエイトではありません。
村下孝蔵さんについて
村下孝蔵さん(むらした こうぞう)は、1953年2月に熊本で生まれました。
幼少時代は加山雄三さんに憧れ、エレキギターをご両親にせがんだものの買ってもらえず、ギターを自作して(実際にはシタールのような音だったそうですが)母親の化粧台の前でポーズを真似たりしていたそうです(か、かわいすぎる……)。
その後18歳(1971年)で広島で暮らしはじめ、エレキからフォークに持ち替え、22歳から26歳(1975〜79年)まではピアノの調律師として働き、27歳(1980年)にシングル「月あかり」でプロデビューしました。
いくつかのリリース後、30歳(1983年)に「初恋」でオリコンチャート3位を記録。
39歳(1992年)に「ロマンスカー」を発表(この曲は村下孝蔵さん自身一番のお気に入りだそうです)。
46歳(1999年)、高血圧性脳内出血により、あまりにも若くして逝去。
もし生きておられたら63歳です。
今もなお多くのアーティストが別れを惜しみ、毎年同窓会としてライブが開かれています。
※公式ウェブサイト
※SonyMusic による特設サイト
村下孝蔵さんの良いところ
歌がうまい
「歌手に対してなに言ってるの?」と言われそうなくらい当たり前のことなのですが、村下孝蔵さんは本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に歌がうまいです。
メインになるメロディーは一番出しやすい音程に合わせていると思うのですが、その声が本当に強く、透き通って、かっこいい。
低い音程ではほんの少しだけ掠れるのですが、それがまた渋さを演出して良い。
それでいて高音も綺麗で、伸びがあり、感情を揺さぶられます。
そしてなによりCDよりも、ライブのほうがうまいんです。
生歌になるとちょっと不安になるアーティストも世の中にはいますが、村下孝蔵さんは本当に安心して聞いていられます。
たまに演奏中ギターの弦が切れたことはありますが、それはご愛嬌。
ライブでの音源の入ったCDが、Amazon プライム会員であれば全曲視聴可能です。
https://music.amazon.co.jp/albums/B00FYKWW9I?do=play&ref=dm_ws_dp_ald_bb_phfa_xx_xx
ぜひ聞いてみてください。
某動画サイトにもいくつかあります。
ギターがうまい
歌だけでなく、ギターも超絶うまいです。
少年時代からの積み重ねが、その腕に如実に表れています。
フォークだけでなくエレキもお上手で、ギターの若大将の「ブラック・サンド・ビーチ」や「夜空の星」を演奏されている動画が 某動画サイトにあがっています。
ライブではもちろん、弾き語りです。
曲が良い
村下孝蔵さんの曲は、ギターの曲以外にもピアノや電子音の入った曲もいくつかあります。
まずイントロが美しい。
どの曲もそのイントロに誘われて、歌い出しが優しく、音程がかなり上下するにもかかわらず、歌い声が強く優しいためか、メロディラインがなめらかで、印象的なサビ、あまり繰り返しを多用しない曲調。
印象的な歌詞の部分は曲によって強調され(ただ音が強いというわけではなく)、後述する村下さんの素晴らしい歌詞をなおさらに引き立てています。
曲によってはピアノバージョンやギターバージョンがあるものもあるのですが、不思議とどの楽器で演奏されてもそれぞれに良い。
ギターバージョンの集められたアルバムもあります。
https://www.amazon.co.jp/GUITAR-KOZO-%E6%9D%91%E4%B8%8B%E5%AD%9D%E8%94%B5/dp/B00276HO7C
このアルバムの中ですと、「ロマンスカー」という曲が通常版・ギター版の違いがわかりやすいと思います。
こちらは通常版が収録されたアルバムです。
歌詞が良い
歌声が良く、演奏がうまく、曲も良い。
もしも歌詞も良かったら、最高じゃないですか?
その最高なんですよ!!
オリコンチャート3位獲得曲、初恋です。
歌詞を見てみてください。
1フレーズ目から、「え?」と思いませんか。
諸々に配慮して転記しませんが、そこで聞き手の意識を引き込むのが、本当にうまい。
そして同時にこの1フレーズ目がとても印象に残ります。
サビも良い。
まざまざと情景が描写されているので、主人公の寂しさ・切なさに無理なく共感できます。
「初恋」では学校が舞台ですが、年齢・時代・回数に限らずいつまでも、恋をしたときには同じ気持ちになるのではないでしょうか。
そしてサビ後のフレーズもまた良い。
歌い出しと同じく、パッと聞きには「え?」と思うようなフレーズなのですが、同じフレーズを2番、繰り返しパートとで聞いていると、まさにこの歌詞のように、心の中に残ったまま離れなくなりませんか。
村下孝蔵さんの歌詞には、英語がほとんどまったく出てきません。
個人的には、それも聞き手の共感を呼ぶのではないかと思います。
同時に古臭く聞こえるという意見もなくはないのですが、聞き慣れた言葉を使った、しかしながら聞きなれない組み合わせで、新鮮な感動を自然に呼び起こしていると思います。
曲のタイトルが良い
村下孝蔵さんの曲名には、一見するとちょっと変わったものもあります。
- 初恋 ←わかる
- 踊り子 ←わかる
- だめですか? ←お?
- だっこちゃん ←おお?
- タカハシ ←おおお?
お陰様で検索はしやすいのですが。
また、中にはタイトルで中身を予想させておいて、実際には歌詞が予想を裏切り、しかもその裏切られた先の内容がめちゃくちゃ切ない、最高の罠のような曲もあります。
ちゃんと後述します。
顔が良い
「村下孝蔵」で画像検索するとわかるのですが、見た目はどこにでもいそうな普通のおじさんです。
でも、まずこちらのジャケットをご覧ください。
見ましたか?
で、次にこちらですよ。
いや、ずるくないですか?(かわいい)
それぞれの曲について
ここからは、いくつかの曲について語っていこうと思います。
最後にはなぞなぞを用意してますので、長文を読むのがしんどくなってきた方は、最下行までスクロールしてください。
そしてよかったら、曲をいくつか聞いてみたあとで、こちらのパートのことを思い出して、「そうかねえ」と思いながら読んでもらえたらうれしいです。
初恋
この曲については、さっき上で語りましたよね。
で続きなんですが、この曲の最後のフレーズは音源によって、繰り返すバージョン(おもにCDに収録されているバージョン)と、2回の繰り返しで切るバージョンとがあります。
みなさんはどっちが好きですか?
いやまあどっちも好きなんですけど、僕は 歌人-ソングコレクション- を繰り返しきいていたためか、同CDに収録されている繰り返すバージョンのほうが馴染み深いんですよね。
でも、繰り返すバージョンは村下さんの声が重なっている箇所があります。
なので、カラオケでは正確に歌えないんですよ…そこがちょっとつらい。
また、初恋はたくさんのアーティストさんにカバーされています。
みなさんお上手だし、それぞれのテイストが出ていて良いと思います。
でも僕の場合は、それらのいくつかカバーされたバージョンを聞いていると、村下孝蔵さんの歌声が恋しくなってきてしまうんですよね…
ディスる意図はないのですが、個人的な意見としては、村下孝蔵さんの本家が一番だと感じてしまいます。
陽だまり
はい、村下さんの曲の中でおそらく2番目に有名な曲です。
なぜかというと、アニメ めぞん一刻の OP 曲だからです。
村下さんを知らなくても、めぞん一刻は知っていて、この陽だまりは知っているという人には結構な数出会いました。
この曲もまた歌詞が素晴らしいので、まず見てみてください。
全体的に曲も爽やかで、恋や愛の喜びを謳歌している内容です。
そして、よく読んでいただけるとわかると思うのですが、この曲には二人の関係性が特徴的な単語の移り変わりで表現されています。
それは、「望み」「祈り」「誓い」です。
見つけられましたか?
つまり、互いの心の内にある望みが、二人で共有する祈りに変わり、第三者に宣言する誓いに変わるのです。
めぞん一刻のOPなのも納得できますよね。
ゆうこ
個人的な解釈ですが、この曲は囲われた女性か、もしくは心に深い傷を負った女性に恋をした年若い青年の心情を歌ったものではないでしょうか。
相手の女性の名前が、そのままタイトルになっています。
しかしながら、お気づきでしょうか。
歌詞に「ゆうこ」という言葉は入っていません。
主人公は、本当はそうしたいのに、相手を「ゆうこ」と下の名前で呼ぶことすらできないのです。
歌詞に表れない主人公の心の中を表現したように、追従して流れるコーラスの中でだけ、主人公は「ゆうこ」と呼びかけています。
自分には女性の悲しみを救えないと知りながら、それでいて気持ちを抑えることができず、もどかしい。
「ゆうこ」はおそらく、そういう曲です。
踊り子
こちらは2番の1フレーズ目がとても印象的です。
なぜ「表紙が取れ」てしまったのか、とても気になりますが、歌詞の中にその説明はありません(そこがまたにくい)。
サビの1フレーズ目も、二人の危うい関係性を匂わせています。
そして、ふたりともその危険さに気付いていながらも、踊りをやめることができない。
ひょっとしたらこれは、「ゆうこ」の青年のひとつの可能性の先なのでしょうか。
もしそうなのだとしたら、少し悲しい気もします。
ソネット
こちらはとても短い曲です。
歌詞も短いですね。
ソネットとは十四行詩のことで、上記の歌詞タイムさんでは改行位置の問題で多くなってしまっていますが、フレーズごとに適切に区切るとこちらの曲も14行で構成されています。
そしてその内容は、14行という小さな構成ながら、しかし強く激しいものです。
単に心情について歌っているだけでなく、繰り返しによって自分に言い聞かせ、誓っているようにも思えます。
曲調は決して強くもなく激しくもないのですが、それがまた思いを強調しているようです。
いいなずけ
「いいなずけ」というタイトルですが、主人公にはいいなずけがいるわけではありません。
タイトルだけを見ると幸せラブラブな内容を期待するのですが…
この曲は、「何らかの事情で愛を明かせない二人が、もし人生をやり直せたら、きっといいなずけと呼ばれていたはず」という曲なのです。
これが切なくなくて、いったいほかの何が切ないと言えるのでしょうか。
村下孝蔵さんは作詞の天才なのでしょうか。
春雨
ダイエット食の曲ではありません。
都会に出ていった男に捨てられた女性の歌です。
この曲もまた切なさを濃縮して還元せずにそれでいて飲みやすく提供され、気がつけばいつの間にか心情を乗っ取られているような、そんな感覚に陥る曲です。
とにかくサビがいい。
村下さんの声の伸びがいい。
それが切なさを最高潮に押し上げて、ふっと着地させる。
曲、歌詞、声のあわせ技の妙技です。
北斗七星
村下孝蔵ファンに「どんな家に住みたい?」と聞くと、「赤い屋根の家に住みたい」「小高い丘に建ってる」と答えるのは、この曲が所以です。
正直なところこの曲は、歌詞の内容について定まった解釈ができていません。
大人な二人が装って暮らしているようにも、本当に仲が良いようにも聞こえます。
ただ、「小高い丘の上に建っている赤い屋根の家」という情景が強烈に焼き付く曲であります。
ちなみに、この「赤い屋根の家」とは、村下孝蔵さんが通っていた喫茶店に由来するそうです。
少女
村下孝蔵さんの曲には、しばしば「少女」が登場します。
そして、この曲の歌詞はひたすらに、ある少女について語られているものです。
しかもそれはただの少女ではなく、「僕だけの」少女です。
おやおやおや。
それゆえになんとなく「ん?」と思わなくもない曲なのですが、曲自体が素晴らしいのでそんな勘ぐりをどこかへ追いやってしまいます。
追いやってしまってください。
個人的にですが、この曲と「ねがい」という曲を聞くと、おおた慶文さんの絵を思い出します。
ほかにももっと色々と書きたい曲がたくさんあるのですが
すでにアドベントカレンダー担当日の日付が変わってしまったので、ここで投稿しようと思います。
どの曲もおすすめですが、以下に自分のおすすめ曲を列記します。
- 愛着
- すみれ香水
- この国に生まれてよかった
- ロマンスカー
- 夢からさめたら
- しゃぼん玉
- 結婚式
- タカハシ
- 屋台酒
- 下宿部屋
- 引き算
- 花れん ←僕が一番好きな曲です
そして、最後に謎をひとつ
「あぃまぃみぃ!ストロベリー・エッグ」
村下孝蔵さんについて書けて幸せでした。
また、長文・拙文失礼いたしました。