2017年を振り返る
この年齢にもなって恥ずかしながら、自分はとても懐疑的な人間で、それが奏功する場面もあるにはあるのですが、もちろんいつもうまくいくわけではありません。
物事を教わるにしてもそうで、「これこれこういうことが起こらないように、こうするのです」と聞いても、その場では「本当にそうか?それが起きないこともあるのではないか?」と考えがちで、いったん先入観でそうなってしまうと素直に受け入れることができません。
またそういう場合は実感もわきにくく、「そういうこともあるんだろうな」と思おうとしても実際の場面がなかなか想像できないので、いざ直面してみるまでは不測の事態が予期できず、無意識のままに、もしくは楽天的に捉えて、「こうするのです」の部分を破ってしまうことがあります。そしてそのとき初めて「なるほどこういうことが起きないように、こうするのか」と、実感とともに合点がいくのです。
2017年は、とくにそういう年でした。
面白かった本について
小説
『あなたの人生の物語』著:テッド・チャン
- 作者: テッド・チャン,公手成幸,浅倉久志,古沢嘉通,嶋田洋一
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2003/09/30
- メディア: 文庫
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映画『メッセージ』の原作を含む短編集。映画を見てからでも良いので、原作も読むべきだなと思いました。原作ではすこし想像しづらい描写が映像になっていますし、逆に映画での描写の意味が原作での心理描写にあらわれています。より深く楽しめることでしょう。
新書
『日本語 <上・下>』著:金田一春彦
今年は仕事の関係で校正の作業をすることになったので、知識の裏付けの意味もあって日本語関係の書籍をたくさん読みました。そのうちのひとつです。
校正では人の文章に対して少なからぬ提案や指摘をするのですが、その際に「なんか読みにくいから変えてください」とは言えません。多くの場合、説得力のある理由を添える必要があります。この本はその助けになりました。
漫画
とめはねっ!鈴里高校書道部 14 (ヤングサンデーコミックス)
- 作者: 河合克敏
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2015/05/29
- メディア: コミック
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『帯をギュッとね!』や『モンキーターン』を描いた作者による、書道漫画です。テレビドラマにもなりました。1巻から9巻までは去年までに読んでいて、一昨年14巻で完結したことも知っていたのですが、今年になってやっと読み終えました。
近年まれに見る、とても綺麗にまとまった終わり方をした漫画だなと思いました。非現実的なほどに大人びた高校生や、バカで無責任すぎる大人も登場しないし、作者が言いたいことを言うためだけのキャラクターも出てこない。作者が透けて見えないことに、一番好感を持てました。
お酒について
「楽しいお酒を飲む」が今年の目標でした。来年もそのままかなと思います。
年々、飲むと沈むことが増えてきたような気がします。その場は楽しいんですけど。
確定申告について
やりましたが、8ヶ月も前のことでもはや忘れました。最初は freee や MonerForward などのサービスを使ってみましたが、最終的には税務署のWebサイトにあるサービスを使うのが一番楽だったように思います。
そういえば、サービサーとして世の中に何を提供すべきなのかについて考える年でもありました。
よくラーメン屋のたとえ話をしているのですが、世の中にあるものの品質が徐々に下がり、言わば「フードコートのラーメン屋」になっているような気がするのです。それも、看板だけは「老舗の名店」のままで。
するとどうなるかと言うと、少しずつそれが「老舗の出すうまいラーメンの味」として認識されていくのです。もちろん食べた人全員がそう思うわけではないでしょう。しかし味がわかる人だけでないこともまた事実です。
あくまで例え話ですが、ここで言う「老舗の名店」のオーナーが、ラーメンの味がわからないこともまたあります。そんなオーナーが、他の料理人から安価でうまいラーメンを作れると聞けば、今まで雇っていた料理人を入れ替えることでしょう。そしてその安価なラーメンの実態がフードコートのラーメンだとしても、オーナーにはわかりません。
さらに悪いことに、オーナーの店は人通りのある表通りにあり、かつ店の壁に貼られた広告による収入が、ラーメンの販売で得られるそれよりも上回っているのです。多少味のわかる人に幻滅されたとしても、他にも人はたくさんいますし、そもそも人さえ来てくれれば、ラーメンが売れる必要はないのです。
それはもはやラーメン屋なのでしょうか。
そしてそのよくわからない何かは、いったい誰に価値を提供しているのでしょうか。
というようなことを考えたり、悩んだりする年でした。安価で一流のラーメンを作る方法さえあれば、この流れに乗って世の中が良くなっていくと思うのですが、答えは出ていません。
2018年の目標
イタリア語
イタリア旅行を機に今年の8月から勉強しているイタリア語ですが、当然ながらまだまだ身についていませんし、来年も続けます。
今はフレーズ本や単語集を読んだり、勤務中に書籍に付属のCDを聞いたり、Facebook にイタリア語で書き込んだり、NHKの教育番組を見たりしています。来年は、それらに加えて新たにディクテーションをやってみようと思います。
来年の終わりまでには、せめて意味のわかる文を書いたり、多少詰まってでも言いたいことが言えるようになったりしたいなあ。背伸びして翻訳もやってみたい。それにもう一度イタリアにも行きたいなあ。
それではみなさま良いお年を。