なぜですか

書きたいと思ったことを書きます

これは胃カメラの感想文です

退屈な内臓だなあ

昨年末に初めて胃カメラでの検査をしてもらった。そして「退屈な内臓だなあ」と感じた。

胃カメラでは、挿入されているカメラの映像を自分も目の前に置かれた液晶で見ることができた。鼻から入っていくカメラ。細いとはいえそれなりに径のあるそれが入っていく様子が見える。「ここが鼻と口の境目か」と思っていると、「一番狭い場所は過ぎましたからね〜」という看護師さんの声がした。目からは無意識のうちに一条の涙が流れる。麻酔のおかげか痛みはない。喉をどんどん進んでいくカメラが、技師さんの腕前によってするすると操られて胃に到着した。

胃だ。当たり前だけどドキュメンタリーや図鑑で見たことがあるやつ。まんまあれだった。どこにも特徴は無いように見える。落書きもなければサインもなくシールも貼られてないし、バンクシーも来ていなかった。

正直がっかりした。もちろん病気があってほしかったわけじゃないが、自分の内側にあるのがこんなにもつまらない、普通の内臓だったとは思っていなかったようだ。自分でもそう感じているのが意外だったが、そうだった。「キレイな胃ですね〜」という技師さんの声がした。技師さんが手元でなにか操作をすると、カメラの映像が一面液体で覆われた。どうやら見やすくするために何かの液体で洗浄しているようだ。カメラの胴体が胃の内側に触れると、触覚がないはずの胃から違和感が伝わってくる。気持ち悪いなかで同時に「その調子だ」とも感じていた。

自分の内側のパーツを見たことがあまりなかったので、面白いと同時に神秘性が失われたような気分だった。

独自性なんてそうそうありませんよね

外面的にも内面的にも、その人独自なことなんてそうそう無い。特徴のある肉体を持った人はこの世の中に必ず2人以上いるし、独特な思想を持った人もそうで、何言っても誰かが「わかる〜」と言ってくる(本気で言ってる?)。神秘性で覆ってるうちは自然科学的な目で観察できてないんだなあとも思うので、やっぱり胃カメラはやってみてよかったな。頭の中にも入れてみたい。

でも頭の中にはバンクシーがいたら嫌だな。