シブ−1グランプリ
この記事は、渋谷ランチ Advent Calendar*1 の28日目です。
先日お昼をご一緒させていただいた方*2から、「牛かつ もと村行ったけど、自分はあそこがコスパ含めて渋谷で一番美味い店だと思う」と伺いました。
僕はもと村に正直そこまで舌が合わなかったためにその方に同意しかねていると、「では君の渋谷ランチナンバーワンはどこなんだい?シブ−1グランプリ優勝者は誰なんだい?*3」と聞かれました。
しかし、僕はその質問に答えることは出来ませんでした。
渋谷で働いてかれこれ合計8年ほど経ちますが、僕は「渋谷で一番うまいランチはどこなのか」ということを一度も考えたことが無かったのです。
先日25日で仕事納めになりヒマなのと、ブログのネタのため、ちょっとこの辺で考えてみることにします。
それでは、シブ−1グランプリ、行ってみよ〜〜〜〜〜〜!
※以下はあくまでランチの評価であり、かつ主観が多分に含まれています。
5位:タップボロウ
みなさんは「まかない料理」はお好きでしょうか。
僕は裏メニューを食べているような特別感があって好きなんですが、まかない料理はまかない料理としてメニューに書かれてしまうと、それが正式な表メニューに仲間入りしてしまい、いわゆる"裏"メニューではなくなってしまうので、その矛盾に戸惑うことが少なくありません。
とはいえ表メニューに書かれていなければ、注文することが出来ません。
さて、どうすれば良いのでしょうか。
こちらのタップボロウでは、お隣にある「俺のハンバーグ山本」という行列ハンバーグ店のハンバーグをパティに使用したハンバーガーを食べることが出来ます。
「やられた」と思いました。「あ!そのソリューションがあったか!」と思わず膝を打ちました。
まかない料理(のようなメニュー)を別の店のメニューとして提供すれば、特別感を残したままにお客が注文できる状態を維持できるのです。
そうと知った時の僕はやや興奮気味にハンバーガーを注文していたのですが、きっとこちらの店長さんはそんなケツの青い僕を見て、「まだそんなステージにいたの?はやくこっち側に来なよ。まかないの向こう側へ、さ」と思っていたことでしょう。
肝心のハンバーガーのほうですが、もちろん期待以上の味と言わざるを得ません。
さすが山本の肉のジューシーでしっかりした食感、厚めのバンズ、付け合せのポテト、ピクルス、つけ放題のケチャップにマスタード、全てが僕の好みのまま。
食前には特別感で、食後には多幸感で、僕の心は満ち足りました。
そんなハンバーガーですが、2015年12月現在、ランチで食べることは出来なくなっていました。
4位:晴之日
カレー、良いですよね。
週の7日がカレーだと「ちょっとなー」という感じがありますが、6日ぐらいなら「まあ良いんじゃないか」と思える、そんな特異な料理。
それがカレーです。
こちらの晴之日は、カレー専門店です。
専門店だけあって、カレーのバリエーションがとても多く、ありがちな揚げ物トッピングが豊富な店というわけではなく、季節ごとにこだわりの野菜を使ったカレーや、定番のカツカレー、日替わり、黒カレーなどなど、多種多様です。
冒頭で「6日なら」と書きましたが、この店のカレーなら毎日でも飽きない、それぐらい四季折々の様々な顔を見せてくれるカレー、それが晴之日のカレーなのです。
もし仮にここのカレーを制覇出来た暁には、他のカレー店に入ったところで「ああ、晴之日のあれね」「晴之日で食べたほうが良かったな」ぐらいの感覚になってしまうのではないでしょうか。
ぜひ、毎日食べていただきたいと思います。
そんな晴之日ですが、2010年ごろに惜しまれつつも閉店しました。
3位:花しずく
IT業界は、イノベーションのスピードが早い業界と言われています。
イノベーションで新しいソリューションをクライアントへデリバリーすることが、IT業界全体の社会におけるミッションと言えるでしょう。
そんなIT業界で働く我々が、果たしてランチにも既存のフィクスチャーを受け入れたままで良いのでしょうか。
こちらの花しずくのミルフィーユかつは、まさにイノベーションです。
通常のとんかつは1cm未満ほどの厚切り豚肉を使いますが、こちらのミルフィーユかつは厚切りにせず、しゃぶしゃぶ用肉程度の薄切り肉を何層にも重ねて、1cm程度の厚さにしています。
そんな肉の層から染みだした肉汁を、サクサクのパン粉がコーティング。
深みのある味わいのソースをかけて食べた時あなたは、さながらとんかつ界のフロンティアを旅するカウボーイです。
こちらの花しずくでは、そんなミルかつとへぎそばの定食を食べることが出来ます。
こういった豊富な味覚のバリエーションも、ランチの満足感を高めてくれますよね。
そんな花しずくですが、渋谷店は閉店しました。
池尻大橋にもお店があり、むかし一度訪ねたことがありますが、その時にはミルかつはメニューにありませんでした。
2位:モネ
社会人はまさに、「時は金なり」であります。
昼休憩は、業務時間内の小休憩とは違って、①昼食をし、②気分転換もし、③休息をも取る、というように3つのことを行わなければいけない貴重な時間です。
出来ればこれらを一度に行い、満足出来る昼食とすっきりした気分転換、ゆったりとした休息を取りたいものです。
そしてそのどれもが、この店にはあります。
こちらは静かな町の洋食屋さんです。
60代くらいのおばあさんがふたり、おじいさんがひとり、30代ぐらいのお兄さんがひとりの、合計四人でお店を切り盛りされています。
主におばあさんが接客をしてくださるのですが、それがとても丁寧で、心癒やされます。
またここの生姜焼き定食は、肉がいわゆる生姜焼き用の厚い肉ではなく、細切れ肉のため、肉汁とソースがじつによく絡み、こいつと千切りキャベツをご飯と一緒にかき込んだ日にはもう、体中の全神経が生姜焼きのとりこです。
接客の行き届いた落ち着ける空間でそんな絶品料理を味わえば、きっと大満足の昼休憩を過ごせることでしょう。
そんなモネですが、2011年の2月を最後に惜しまれつつも閉店しました。
1位:ぶどう酒屋
ここまで見ていただいた通り、渋谷は飲食店激戦区です。
この8年あまり、僕はたくさんのお店を見つけては気に入り、そして消えていく名店たちを目の当たりにしてきました。
渋谷で飲食店を続けていくことは、本当に難しいことなんだなと実感しています。
こちらのぶどう酒屋さんは、そんな激戦区・渋谷で、僕が働き始めた9年前にはすでにありました。
そして安心してください。
素晴らしいことに、2015年12月現在、存続しています。
なかなか伝わりづらいかもしれませんが、チェーン店でない個人経営の店舗で、これは本当に稀有なことなのです。
こちらは洋食店で、主にハンバーグを扱っています。
ハンバーグはソースがデミグラス、カレー、テキサスチリ、和風、チーズクリームの5種類があり、ハンバーグの大きさも普通のとジャンボとで2種類、トッピングも付ければおなか大満足のボリューム、ランチタイムのご飯大盛り無料と、どこを取っても死角なし。
追加料金で食後にコーヒーも付けられます。
2006年。
22歳の僕は、この近所で働き始めました。
右も左もわからない中、先輩や社長にここへ連れて来てもらい、おごりでジャンボハンバーグを食べたこともたくさんありました。
いわゆるベンチャー企業で楽しいことも理不尽なこともたくさんありました。
そして27歳。
僕は転職し、渋谷から離れてしまいました。
その翌年の28歳の時にまた転職し、もう一度渋谷で働き始めた記念に1年ぶりにぶどう酒屋を訪れたのですが、お店のお母さんが「あら、久しぶりね」と笑って迎えてくれたことは、僕に「渋谷に帰ってきた」ことを嬉しさとともに実感させてくれました。
2015年。
いや、もう時代は2016年になろうとしています。
むかしぶどう酒屋で有線でかかっていた、「虹とスニーカーの頃」や「ジョニーへの伝言」は、最近はもう聞かれなくなりました。
それでも、変わらないハンバーグがある。
9年前から変わらない、お母さんの笑顔の接客がある。
それが僕はたまらなく嬉しいのです。
来年もまたきっとここのお世話になります。
ぜひとも末永く渋谷でお店を続けて欲しいと思います。
おわりに
いかがだったでしょうか、シブ−1グランプリ。
「なんであの店が入ってないんだ」などのご意見ももちろんあると思います。
もしそういったお店をご存知の方がいらっしゃったら、ぜひぜひ紹介してください。
むしろ一緒に行きましょう。
そのお店があるうちに…